突然カラフルになりましたが、このころカラーリングがはやりました。このカメラは、私としては一番気に入っているカメラです。設計には苦しみましたが。
設計的には最新の技術がかなりはいっていました。ドイツからオートローディングの特許を買ってきて内蔵したのです。しかし、お偉方は図面を数枚もらってきただけでどこが重要かをなにも聞かずに買ってきてしまいました。技術者が行かなかったのが最大の間違いでした。社内でみんながいろいろ意見を言っていましたが結局ものができてからやっとわかったものです。
言葉だけではわからないと思いますが、特許を買ってきた人は内部の偏芯して回る8個の爪が順番に引っかけて(前の爪がはずれると次の爪が引っかけることにより)ローディングするのだと言っていましたが、結論は最初に引っかけた爪が最後まではずれないようにするのが大事なのでした、チャンチャン・・・。
この爪は山梨県のプレスメーカーの社長に頼み込んでようやくできたものでした。その後この社長にはずーっと世話になっているばかりです、恩返しをしたいと思っているのですが・・・。
また、グリップ部があるということも、そのグリップ部に電池(単三2本)を内蔵しているというのも初めてのものでした。
右手側で巻き上げて左手側にフィルムを巻くというのも当時としては珍しいものでした。このため右手側からギヤ列を繋げていっているのですがワンウェイクラッチとかテフロンシートのフリクションとかいろいろ使っていました。ギヤ基盤にギヤ列がすべて載っていて本体に載せるだけでセットできるようになっていました。
巻き上げレバーの部分のクリックも、他社はフリクションを使うかスチールボールとバネを使って大きなスペースを使っていましたがこのカメラは巻き上げカバーの中に内蔵してしまいました。切れ味の良いクリックでした。
ストロボ部分がまた特徴がありまして、ここは私の設計ではないのですが少し頭を押してやると出てきてもう一度下まで押すとロックされるものでした。このころは赤目現象をなくすためにレンズからストロボをはなすことに全力を注いでいました。
レンズは知る人ぞしる名レンズ、ベラミというカメラのレンズを積んでいました。
長くて申し訳ない、一番好きなカメラなので・・・